CFRPトリミングにおける超硬 vs ダイヤモンドエンドミルの比較
航空宇宙産業における 高精度CFRPトリミングのニーズ が工具素材選定に関する研究を促進しています。一般的な 機械加工 用途では超硬エンドミルが主流ですが、研磨性のあるCFRPでの急速な摩耗により生産コストが上昇します。ダイヤモンド工具は高価ですが、極めて高い硬度(ビッカース硬度:10,000 vs. 1,600 kgf/mm²)により長寿命が期待されます。本研究では次の2つのギャップに着目します:(1) 実際の切削条件下での摩耗メカニズムの定量比較、および(2) 大量生産用途における経済的実現可能性の評価。
方法論
1. 実験設計
ワーク:T800S/3900-2 CFRP(繊維体積:60%、厚さ:12 mm)。工具:
• 超硬:6枚刃、10°ヘリックス、AlTiNコーティング
• ダイヤモンド:4枚刃、PCDチップ付き、8°ヘリックス
切削条件はエアバスA350構成部品のトリミングを再現。
2.データ取得
レーザー共焦点顕微鏡(キーエンスVK-X1000)により毎時工具摩耗を測定。マイクロCTスキャンを使用し、剥離はASTM D7268に従って評価。
結果と分析
1.摩耗の進行
ダイヤモンド工具は120分後でもフランク摩耗が0.15mm以下を維持したが、超硬工具は75分後に0.5mmを超え、繊維抜け(p<0.01、ANOVA)を引き起こした。
2.表面品質
90分後からRaに差が現れた:ダイヤモンド(1.2±0.3 μm) vs. 超硬(2.8±0.7 μm)。
議論
ダイヤモンドの性能は、その高い熱伝導性(500 W/mK 対 110 W/mK)と一致しており、熱によるマトリクス劣化を軽減している。ただし、送り速度が0.12 mm/tを超えると脆性破壊が観察されたため、運用限度がある。
まとめ
CFRPのトリミングにおいて、ダイヤモンドエンドミルは超硬工具より摩耗抵抗性(3倍以上の寿命)および表面仕上げ性に優れている。
• ダイヤモンド工具の破損を防ぐため、送り速度の最適化が重要である。
・今後の作業では、コストに敏感なアプリケーション向けにハイブリッドツール設計を評価する必要があります。